9月19日、アップルは欧州規制当局から警告を受けたことを明らかにした。これに従わない場合、EUの主要なデジタル独占禁止法であるデジタル市場法(DMA)に基づき、多額の罰金が科される可能性がある。
EU、罰金766億ドルの可能性ある新規制でアップルにOS公開を義務付け
ブルームバーグの報道によると、EUはアップルに対し、同社の閉鎖的なオペレーティング・システムが他のテクノロジーと完全に相互運用可能であることを求める新たな厳しい規制を遵守するよう義務づけた。同社には6ヶ月の期限が与えられている。
EUの主な目的のひとつは、アップルに対し、競合他社や他の開発者がSiriの音声コマンドや決済チップなどの主要機能にアクセスできるよう、同社のオペレーティング・システムを再設計するよう強制することである。これは、アップルが公式にサードパーティ製アプリのサイドローディングを可能にし、APIインターフェースをオープンにして開発者のアクセスを拡大し、特定の機能に対する独占的な支配を放棄しなければならないことを意味する。
アップルがDMAに従わない場合、EUは正式な調査を開始する可能性があり、その結果、最大で同社の世界年間売上高の10%に相当する制裁金が課される可能性がある。アップルの2023年度の推定世界売上高が3,833億ドルであることを考えると、これは766億ドル以上に達する可能性がある。さらに、同社はすでにアプリストアの規制に関して並行して調査を受けており、違反が繰り返されると罰則が20%に引き上げられる可能性がある。
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アップルの対応
EUの競争法担当役員であるMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベスタガー)氏は、「本日、アップルが相互運用性の義務を効果的に遵守するよう指導するために、DMAの規制枠組みを初めて使用することになる」と述べた。カリフォルニアに本社を置くアップル社はこれに対し、ユーザーのセキュリティを維持しつつ、開発者がiPhoneやiPadのOSとの相互運用性を追加で要求するための様々な方法を用意していると指摘した。しかし同社は、自社に組み込まれた保護を損なうことは、欧州の消費者にリスクをもたらす可能性があると警告している。
アップル、製品変更と株価急騰の中、EUでの規制上の課題に直面
近年、規制当局の圧力を受け、アップルは充電インターフェースを独自規格のライトニングからUSB Type-Cに変更した。また同社は最近、EUとの法廷闘争に敗れ、アイルランド政府に130億ユーロの裏金を支払うよう裁定された。
注目すべきは、このような課題があるにもかかわらず、アップルは、サードパーティ製アプリとの互換性に関するDMA要件のため、今後リリースされるAI機能を含む新発売のiPhone 16の一部機能はEUでは利用できないと発表したことだ。
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EUとの法廷闘争が続く中、アップルが欧州での大きな市場シェアを守るために要求を呑むかどうかが注目されている。このニュースがネガティブな意味合いを持つにもかかわらず、アップル株(AAPL)は市場全体が急騰する中、3.71%上昇し228.87ドルとなり、7月16日につけた終値の過去最高値234.82ドルに迫り、年初来では23.29%の上昇となった。
出典グーグルファイナンス