米国の共和党議員40人以上が、証券取引委員会(SEC)に対し、物議を醸している職員会計公報第121号(SAB121)を撤回するよう求めている。この規則は暗号通貨の会計処理に影響を与えるもので、当初は大統領の拒否権によって廃止が超党派の支持によって覆されるなど、大きな議論を巻き起こしてきた。
SAB121は、暗号通貨保有に関するカストディ・ルールを変更し、暗号通貨を保有するSEC報告主体に、暗号通貨を貸借対照表に負債として記載することを義務付けた。そのため、このルールは消費者保護を損ない、金融イノベーションを阻害するという主張がなされている。ゲーリー・ゲンスラーSEC委員長宛ての書簡では、パトリック・マクヘンリー下院金融サービス委員長、シンシア・ルミス上院議員、その他40名の政治家が懸念を表明している。
手続き上の不備の申し立て
同団体は、SECがSAB121を導入する際、適切な規制機関との協議を怠ったとしている。同規則は確立された会計慣行から逸脱しており、カストディアンの義務を誤って説明することで消費者をリスクにさらす可能性があると主張している。
政治家たちはさらに、SECが標準的な規則制定手続きを回避していると批判し、SAB121を「スタッフ・ガイダンス」として発行し、必要な公示とコメント手続きを回避していると非難した。
金融システムをこれ以上複雑にしないためにも、このルールは廃止する必要があると彼らは主張した。
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暗号通貨カストディへの影響
主要な懸念事項のひとつは、この規則によって米国の銀行が暗号通貨の上場商品(ETP)を効果的に管理できなくなる可能性があることで、民主党のワイリーニッケル下院議員が指摘した。
ニッケル氏は、支配権が銀行からノンバンクに移るため、「集中リスク」につながる可能性があると主張した。
論争に拍車をかけているのが、選択的除外という主張だ。
例えば、ワイオミング州議会の公聴会で、米国最大のカストディアン銀行であるバンク・オブ・ニューヨーク・メロンがSAB121の適用除外を受けていることが明らかになった。
立法上のハードル
SAB121の廃止を求める動きは、フレンチ・ヒル下院議員、トム・エマー下院議員、ビル・ハガティ上院議員、ティム・スコット上院議員など、著名な共和党議員から強い支持を得ている。
上下両院で超党派の支持を得たにもかかわらず、ジョー・バイデン大統領は6月に廃止法案に拒否権を発動した。その後、7月に拒否権を覆そうと試みたが、60票差で否決され、事実上、今後の立法措置は停滞した。
結論規制の誤り
SAB121の導入は、米国の政治家や金融専門家から広く批判を浴びた。SECの意図は透明性と消費者保護を向上させることであったかもしれないが、そのアプローチは矛盾と潜在的なリスクに対する懸念を引き起こしている。
確立された規則制定プロセスに従わなかったことが事態をさらに悪化させ、SAB121の廃止を求める声がますます高まっている。